「遺産分割の手続きは何から始めたらよいのだろうか。」
「遺産分割はどのようにしたら公平になるのかな…。」
ご家族(父・母)が亡くなられ、相続手続きをすることになり、いろいろな疑問や不安があるかもしれません。亡くなられたらまず、遺言書が残されているか確認しましょう。遺言書がない場合は話し合いで遺産の分け方を決めていきます。遺産分割を終えるまでの流れについてご説明いたします。
遺産分割の方法と注意点についても詳しく記載しますので、遺産分割をされる際はぜひ参考にしていただければと思います。
遺産分割とは、お亡くなりになった方の財産をご相続人で分けること
亡くなられた方の財産を相続人で分けることを遺産分割と言います。相続人が1人であれば遺産分割は不要です。
相続人全員が参加して遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれだけ引き継ぐのか遺産の分け方を決めます。遺産分割協議は相続人全員の合意があれば、法定相続分とは異なる割合で遺産分割することができます。
法定相続分で遺産分割をする。
遺産を分割するための基準割合となるのが「法定相続分」です。法定相続分は亡くなられた時点で判断します。たとえば、お父さまが亡くなり、相続人がお母さまとお子さん1人なら法定相続分はお母さま1/2、お子さん1/2となります。
協議により全員の合意で相続分を決めて遺産分割をする
法定相続分は法律で定められている遺産分割の目安ですので、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる割合で自由に分割しても構いません。たとえば、お父さまが亡くなり、相続人であるお母さまとお子さんが遺産分割協議で合意すれば、お母さまが全財産を相続することができます。
協議の内容を必ず「遺産分割協議書」にする。
「遺産分割協議書」とは、遺産分割協議の内容をまとめた書面です。誰が何を相続するのか相続人全員が合意したという証明になります。遺産分割協議書は不動産の名義変更や相続税申告などの相続手続きで必要となりますので必ず作成しましょう。
遺産分割の3つの方法
遺産分割する方法は、現物分割・換価分割・代償分割の3つあります。
亡くなられた方の財産が現金のみである場合は分割をスムーズに行うことができますが、家や土地など分割しにくい財産が大半であるという場合も多く、公平に分割するにはどのようにしたらよいのかお困りの方もいらっしゃるでしょう。遺産の状況に合わせて、分割方法を話し合いましょう。
現物分割:財産をそのままの形で分割する
預貯金は長男、有価証券は長女、ご自宅は次男へなど個々の財産を各相続人へ配分する方法です。手続きが簡単で、財産をそのまま残せるメリットがある一方、法定相続分に従って分割することが難しく不公平になりやすいというデメリットがあります。
換価分割:財産を売却して現金で分割する
財産を売却して金銭に換え、分割する方法です。公平な分割が可能となるメリットがある一方で、財産の現物が残らなかったり、売却の手間や費用が発生したりします。
代償分割:財産をもらった方が差額などを現金で払う
相続人の一人が、法定相続分を超える価値の財産を取得した場合に、他の相続人へ相続分の差額を現金等で支払う方法です。財産の多くが不動産の場合や、ご自宅に住み続けたい相続人がいる場合等に用いられます。現物の財産をもらった方が他の相続人へ代償金を支払う資力が必要です。
共有にする:財産を共同で相続する
財産の一部、あるいは全部を相続人全員が共同で所有する方法です。公平な分割が可能で、財産を売却することなくそのまま残せるメリットがあります。一方で、財産の利用や将来の売却について、相続人全員の合意が必要になるため、自由度が低くなります。共有財産を保有する相続人が亡くなってしまった場合、権利がそのお子さんに移るため利害関係が複雑になるというデメリットもあります。
相続時は公平な分割のために利用したとしても、早めに共有名義の解消をされることをオススメします。
遺産分割をするときの注意点
遺産分割協議は相続人全員の参加が必要ですが、未成年者や認知症の方がいる場合はそのまま遺産分割の手続きを進めることができません。また、遺産分割協議がどうしても調わない場合はどのようにしたらよいのでしょうか。
この章では遺産分割をするときの注意点についてご説明いたします。
相続人に「未成年者」や「認知症」の方がいる場合には、代理人が必要
未成年者や認知症など判断能力が不十分な方がいる状況で作成した遺産分割協議書は無効になります。遺産分割協議に参加する代理人を立てなくてはなりません。
未成年者は遺産分割協議に参加できません。親(父または母)が相続人の場合には、「利害関係」があるため代理人になれませんので、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらいます。
認知症の方が相続人にいる場合は、家庭裁判所に「成年後見人」を選任してもらいます。「成年後見人」「保佐人」「補助人」など、認知症の方の症状の程度によって、後見人の種類が変わります。
遺産分割協議が整わないときは・・・
遺産分割協議を行っても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。裁判官と調停委員が間に入り話し合いを行います。遺産の分け方に相続人全員が「合意」すると調停は成立となります。
調停も成立しない場合、遺産分割審判に進むことになります。
最後に
遺言書があれば、基本的には内容の通りに、遺言書がない場合には遺産分割協議を行い、誰がどのように財産を引き継ぐのかを決めます。
相続人全員が納得して遺産分割をすることが大切ですね。亡くなられた方は、残された家族の間で相続のトラブルになることを望んでいるわけではないですよね。
当事務所では、遺産分割協議書の作成などをはじめ、遺産承継手続き、相続による不動産の名義変更(相続登記)、相続対策のための遺言書作成をサポートしております。お一人で悩まず、まずは、船橋 相続・遺言サポートへご相談ください。